フランス革命で獲得した自由 博愛 平等というのがありますが、そのトップが自由なのです。
その意味もなかなかすごいものがあります。
下記の詩はフランスのレジスタンスの戦いの詩でもあるわけですがやはりフランス革命からの遺産を継承しているものです。

 Y. Ozawa

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 自由(リベルテ)
        ポール・エリュアール

             小学校のノートに
             ぼくの机に、木々に
             砂に、雪に
             ぼくは君の名前を書こう

             読んだすべてページに
             白いすべてのページに
             石に、血に、紙に、灰に
             ぼくは君の名前を書こう

             金ぴかの肖像に
             戦士の武器に
             王様の冠に
             ぼくは君の名前を書こう

             ジャングルに、砂漠に
             獣や鳥の巣に、エニシダに
             子供時代の木霊に
             ぼくは君の名前を書こう

             夜の素晴らしい時に
             昼の白いパンに
             婚約した季節に
             ぼくは君の名前を書こう

             ぼくの青空の切れ端すべてに
             カビた太陽の池に
             輝く月の湖に
             ぼくは君の名前を書こう

             野に、地平線に
             鳥たちの翼に
             さらに影の風車に
             ぼくは君の名前を書こう

             夜明けの息のそれぞれに
             海に、船に
             とてつもなく高い山に
             ぼくは君の名前を書こう

             雲たちの泡に
             嵐の汗に
             降りしきる退屈な雨に
             ぼくは君の名前を書こう

             きらめく形象に
             色とりどりの鐘に
             自然の真理に
             ぼくは君の名前を書こう

             目覚めた小道に
             広がった道路に
             あふれる広場に
             ぼくは君の名前を書こう

             ともる灯りに
             消える灯りに
             集まったぼくの家々に
             ぼくは君の名前を書こう

             ふたつに切られた
             鏡の中と、ぼくの部屋の果物に
             空っぽの貝殻のぼくのベッドに
             ぼくは君の名前を書こう

             食いしん坊で大人しいぼくの犬に
             その立てた耳に
             そのぎこちない前足に
             ぼくは君の名前を書こう

             ぼくの戸口の踏み台に
             慣れ親しんだ物に
             祝福された炎の波に
             ぼくは君の名前を書こう

             同意した全ての肉体に
             友だちの額に
             差しのべられた手それぞれに
             ぼくは君の名前を書こう

             驚きのガラスに
             沈黙よりはるかに
             慎み深い唇に
             ぼくは君の名前を書こう

             破壊されたぼくの隠れ家に
             崩れ落ちたぼくの灯台に
             ぼくの倦怠の壁に
             ぼくは君の名前を書こう

             希望のない不在に
             裸の孤独に
             死の歩みに
             ぼくは君の名前を書こう

             よみがえった健康に
             消えた危機に
             記憶のない希望に
             ぼくは君の名前を書こう

             そして、ひとつの言葉の力で
             ぼくはまた人生を始める
             ほくは君を知るために生まれた
             君に名づけるために

             自由(リベルテ)と。

                                 Poesie et verite(「詩と真実」), 1942年に収録
                                 翻訳:2003, Parolemerde2001


ドイツ哲学者 天野 貞祐先生からお聞きした言葉に”自由とは”ということがあります。
自由ということは、好き勝手・気ままにやりたい放題にすることではないのです。
朝眠いけど今日は寝ていたいけど今日はサボっちゃおうかなと思ってもそうすることは自由ではないのです。
朝起きて学校に行くことこそ、これが自由ということなのです。
学校に通いたくとも通えない人々がたくさんいるのです。
自分の責任で朝起きて自分の責任で学校に行くこれが自由なのです。

ドイツ哲学者 天野 貞祐(あまの ていゆう、1884年9月30日 - 1980年3月6日)は、大正・昭和期の日本の哲学者・教育者・文学博士。京都帝国大学名誉教授。第二次世界大戦後は第一高等学校校長・文部大臣(第3次吉田内閣)を務めた後に獨逸学協会学校を母体として創立された獨協大学の初代学長を務めた。文化功労者。
21歳の時に内村鑑三の『後世への最大遺物』を読んで、自分の人生を見つめなおした天野は京都帝国大学文科大学・同大学院に進学して桑木厳翼らの下でカント哲学を専攻した。

合唱